今回は今後利塾が食育支援ボランティアをすることになった、横浜市立みなと総合高校の荒川先生にお話を伺った。(みなと総合高校の食育支援活動についてはこちら

情熱と行動力で切り拓かれた食育指導の道

荒川先生が進めるこの取り組みは、学校教育の枠を超え、未来を担う高校生たちの心と体に深く響く食育であり、同時に生きるキャリア教育

「みんなにハッピーな人生を送ってもらいたい」

そのために健康が大切、そしてこれから社会で生きる力を培うことも経験させたい。

先生はそんな思いで同校の食育支援活動を進めている。

令和版GTOのような荒川先生は今までの枠にとらわれず、校外でも企業や団体など、どんどん周りを巻き込んでいく。そのスピードと推進力は聞けば聞くほど驚くばかり。

同校が食育実践推進校に指定されていたことを契機に、「朝食を無料で提供したい」というアイデアを、大手化粧品メーカーに話し、お米の提供を受けることになったことがはじまり。

そこから神奈川県庁等より広範なネットワークを活用し、大手食品メーカーを含む10社以上の企業からの協賛を獲得した。

(昨年の食育支援活動の様子はこちら

さらに、昨年は1週間の実施だった食育支援活動も、今年は月1回の定期開催へと拡大。

子供食堂を運営する「しのぶ食堂」とも連携し、高校生が簡単に調理できる栄養満点の朝食メニューを開発した。

支援を受ける側のみならず、実際にメニュー開発の支援まで短期間でこぎつけている。(しのぶ食堂についてはこちら

食育活動がそのままキャリア教育に

荒川先生が食育支援活動において一番重視していること、それは同校で大切にしていることでもある生徒の主体性

食事を提供するだけでなく、生徒自身がスタッフとして調理、企業への取材、そして広報活動までを一貫して担う。

荒川先生は、このプロセスを通じて生徒たちにタイムマネジメントの重要性や将来1人暮らしでも健康に生きていけるような栄養素の知識を伝えることを目指している。

こんなことを高校時代に学べる人はどれくらいいるだろうか。

これは社会に出てからも役立つ生きる力を育む、もはやキャリア教育。

生徒たちが自ら企画し、実行することで得られる達成感や、協賛企業との交流から学ぶ社会性は、彼らの未来にとって計り知れない財産になる。

令和版GTO・荒川先生の教育哲学とは

荒川先生はどうしてこんなに新たな取り組みを人を巻き込みながらできるのか。そこに「失敗したらどうしよう」「嫌われたらどうしよう」というような恐れはないのだろうか。

利塾のメンバーからも多数質問が出た。

「人からどう思われても関係ない」「やってみてダメならダメでいい、うまくいけば最高」。そして「とにかく自分が楽しいと思えることを行動してみること」。

交通事故で嗅覚と味覚を失ったというご自身のご経験をされており、それでもなお「食べること」から「栄養素を摂ることの大切さ」を含め多くを伝えたいという先生。

どんな状況においても諦めるという概念を持たず、常に前向きに、そして「上質な異質」であることを自らに課している。

利塾でも行動することでどんどん状況が変わる例をたくさん見てきたが、荒川先生はその体現者。

そして、前を向いてスピーディーに軌道修正しまた次の行動に移しているので、「失敗はない」という。

生徒はみんな家族ー自己肯定感を育む土壌づくり

入学式当日のホームルームで「今日からみんな家族」と生徒に語りかけ、いつでも先生は味方だよ、と何度も伝える。

「ハッピー」「スマイル」「ラブ」といったポジティブな言葉を使ってクラスづくり、学校づくりをするー

こんな素敵な先生がいたら、どんな高校生も高校に通いたくなる。荒川先生のように自己肯定感を育ててくれる太陽のような先生がいたら、どんなに教育現場は明るくなるだろうか。

かつて不登校の生徒に対し、毎日自宅を訪問したり、芸術の才能がある子には文化祭で個展を開いてもらうなど、その子の個性ややりたいことを一番に尊重し、きめ細やかな支援を行ってきた先生像も、あまりに素敵。

子育て中の利塾のメンバーからは「うちの子どもを先生に会わせたい」という熱烈な声が相次いだ。

利塾は、今後も社会貢献活動として同校の食育支援に携わらせていただく機会に恵まれた。

荒川先生やエネルギッシュに行動する高校生から刺激を受けながら、利塾生としても「運命は自分で切りひらける」を体現していきたい。